第7投函

「このままじゃいけねえ、頑張らんとなア」が口癖で、今日も「頑張らんとなア」と思いながら9時くらいに起きて、「頑張らんとなア」と思いながらジャムを塗りたくったトーストと白飯となめ茸ののめのめを食ってたら、いつの間にやら八つ時でした。時間の流れがはやくって恐ろしいです。恐ろしいので布団をかぶってブルブルしてたら眠たくなってきて、本格的に眠り込む前にと慌てて書いています。毎度のことながら、特に言うべきことはありません。

なめ茸は父方の祖母から送られてきたものです。月に一度の仕送りは、21歳女性の胃腸と我が家のちまっこい冷蔵庫には荷の重い量で、勿論ありがたく思う一方、やや辟易しています。家のシンクの下には今、らっきょう漬けの瓶詰が四本、アスパラガスの缶詰が五本、メンマの瓶詰三本、ほかにも松前漬けの缶詰やらイチジクジャムやらマーマレードやらがごろごろ突っ込まれています。いずれも賞味期限は知れません。今回、ジャムとメンマとがひとつずつ追加されました。これだけあればデカめのエマージェンシーに見舞われても安心です。シンク下のブラックホール化はどんどん進行しています。

こういう瓶詰・缶詰の食品は、当然サイズにもよるのですが、大概独り身にやさしくありません。例えばそれこそなめ茸なんて、ごはんに少し添える程度、ちょっと食べられたら満足なのだけれど、一度開栓したが最後、数日のうちにとっとと食べてしまわなければなりません。別にとり箸を用意せねばならんのも、洗い物が増えて地味に憎々しい。心が狭いとお思いですか。今度なめ茸とらっきょうを三瓶ずつ送ります。

そういうことを考えながら、ぼうっと昼飯を食べていました。家の目の前にバス停があって、数分おきに遠くの方から、「まもなく**号系統が参ります」と明朗快活な女の人の声(彼女は毎日毎日どんな天気の日にも一律に同じ調子でアナウンスを行うので、大変感心です。真の働く大人だと思います)、少し間を空けて「扉が閉まります」と今度は男性の声、それからぷー、ぱーと間の抜けたドアの開閉音が聞こえます。ここのところずっとうららかな晴れの日つづきで、今日もカーテンを開けると黄色味がかった甘ったるい光がよく入って、陰気な蛍光灯がだんだん厭わしくなってきて、消しました。電気の消えた昼間の青い部屋が好きです。今日は教科書を買いに出ようと思っていたのですが、どうやら行けそうにありません。次の月曜日にでも行こうと思います。

「頑張らんとなア」と思います。夜は痛みかけの不知火(これも送られてきたものです)でマーマレードを作ろうと思います。呆れて怒るあなたの顔がまざまざと浮かんできて恐ろしいです。恐ろしくなったので、布団をかぶってやり過ごします。それにしても今日は天気がいいです。それではまた、近いうちに。

 

p.s.

言われていた国木田独歩の「武蔵野」読みました。食わず嫌いは損ですね。いずれワーズワースにも挑戦したいです。できれば原文で。ともかくありがとう、取り急ぎ。

 

令和2年4月10日