日記/20220327/焦る果物

朝、洗濯機をまわして、まわしたまま忘れている。夜に蓋を開けるとなんとなくむわりと湿気が立ちのぼり、またやらかした、と思って翌日の朝、再び洗剤を入れ、洗濯機をまわす。今度ははじめから洗濯・乾燥コース、すなわち洗濯が終わると自動で乾燥に移行し…

日記/20220318

「この辺がざわざわしやがるな」と隣の席に座る社員が胸に手を置くのを横目にみて、聞こえないくらいの音量で「そうですねー」と口の中でつぶやいたのが数日前、その瞬間にざわざわが感染したらしい。朝起きてもざわざわ、高めのパンを買ってもざわざわ、保…

耳、ぐりん

知らない人の人差し指が耳の穴の中に入ってくるということに、どうしても慣れることがない。耳の中洗いますね、の一言くらいあってもよさそうなものなのに、いつも突然ぐりん!とやられるから、心の中で小さく「あ!」と叫ぶ。実際には顔の方も「あ!」にな…

第18投函

この前はどうもありがとう。久しぶりに会えて、嬉しかった。何だか癪にさわるから、あの日は言えなかったけれど。 あなたの何がいやだって、他の友人がいたついさっきまで、ほんの3分前までは、はしゃいで大声出していたくせに、私と二人になった途端、だん…

第17投函

いつになるかはわかりませんが、もしも私が死んだとして、誰かが私の人生の一部分を指して「**で暮らした三年間は、あの人の人生の中でも最良の時期であった」などと言っているのを耳にしたら、どうか気づかないふりをして、眉一つ動かさないで、そのまま…

第16投函

あ、今歌詞間違えた、と思う。そこは「僕」じゃなくて「あなた」だったはずでしょう。自分で書いたくせに間違えてるんだから、世話ないよ。聞いてる私の方がよほど正しく覚えている。 「正しく」? 正しいというのはどういうことですか。歌詞サイトに載って…

第15投函

わざわざ言うまでもないほどの特別さということがあります。ことさらに強調すべきでない嬉しさや悲しさがあります。体操座りで黙って隅の方にうつむいていて、それだけで十分、おやつに手作りチーズケーキが出てくるくらい素晴らしい。だのにいちいちこちら…

第14投函

ウールのコートを羽織って外に出て、五分もたたないうちに暑くなってきたので、首回りが大きくあいた薄手のセーター一枚になって、音の出ない口笛を吹き吹き歩く、そういう季節になりました。遠山を眺めやると、ところどころ洗濯し過ぎたみたいに色が浅くな…

第13投函

遠くの音に耳をすませて、どうにかこうにか聞こうとすること。聞こえてくる音、はっきりとわからない何らかの音に、まるきり感情を任せてしまうこと。最後にしたのはいつですか。ついさっき気づきましたが、私はそういうの、しばらくしてない気がします。 す…

第12投函

「お元気ですか。お元気ではないのではないですか。そんなこともない?なるほど。蒸しパンでも食べますか。あまり甘いのはお好きでない?なるほど。 実際にはそんなふうにはいきません。というと?えーとつまりね、元気ですかと面と向かって聞くこと、かなり…

第11投函

近頃三食きちんと食べて、無茶な粗食も外食もしないからなのか、随分身体の調子がよくて、肌つやとかも心なしか上々で、風呂場の鏡を機嫌よく見ていて思い出しましたが、高校生の時分に「全然日焼けしない、肌が白い」と言われ、「いや、白というか土色なの…

第10.5投函

生き死にも天のまに/\と平らけく思ひたりしは常の時なりき 長塚節 先日、死ぬことを忘れがちだと、そうしてそれでいいと書いたが、今医療従事者の方々や外出して働きに行かなきゃいけない人たちのことを思うと、そういう風に考えることが、間違っていると…

第10投函

『3月のライオン』という漫画が好きです。若い棋士の男の子を中心に据えて、彼の周りの一癖も二癖もある人びとを丁寧に、愛嬌たっぷりに書き上げる作品です。 その中に、滑川という棋士が出てきます。ナイトメアビフォアクリスマスのキャラクターから、油分…

第9投函

生活は目を見張って驚くべきことだらけであって、毎日口をあんぐり開けて、「なんとまあ」とつぶやかずにはいられません。熱した油に冷たいしょうがのチューブを落としたらぱちぱち跳ねまくって危ないこと、3年同じのを使っているシャンプーが実は青りんごガ…

第8投函

大学構内の桜は外のそれより咲くのが随分早いから、今頃はもうほとんど散ってしまったろうと思います。これから陳列館の裏手の八重がきれいに咲いて、そうしてじきにヤマボウシが見頃を迎える季節がやってきます。図書館の北向きの窓の近くに座るとよく見え…

第7投函

「このままじゃいけねえ、頑張らんとなア」が口癖で、今日も「頑張らんとなア」と思いながら9時くらいに起きて、「頑張らんとなア」と思いながらジャムを塗りたくったトーストと白飯となめ茸ののめのめを食ってたら、いつの間にやら八つ時でした。時間の流れ…

第6投函

先日はおいしいご飯をご一緒させていただいて、どうもありがとう。私のかいた落書きを随分褒めてくれて、嬉しかったです。普段ほとんど使わないIllustratorを一年間契約していたのは、あの瞬間のためだったのだと思います。誰をモデルにしたのかは内緒ですが…

第5投函

昼と夜との寒暖差がひどくて参ります。日中は随分暖かくなってきたけれど、夜、のどが渇いたから飲み物を買おうと思って、寝間着にマフラーだけ巻き付けて家を出ると、信号待ちで風に吹きつけられて思わず足踏みをします。昨日は月が真ん丸で、空がとても明…

第4投函

久しぶり!元気だった?10年前に年賀状をやりとりして、それきりですね。今はどこで、何をしているんでしょう。私ですか?勉強して本を読んでテレビ見てご飯を食べて、まあ、あれからそんなに変わりません。少し怠け者になりました。 最近は金曜ロードショウ…

第3投函

朝起きて風呂に入って体を洗って、こんなところにホクロがあったっけなあと考えながら指先でいじくってたらポロリと取れて、洗面台に放ったところ勝手に動き出したので、不思議に思ってよく見たらちょっと赤っぽい足が何本か生えてる気がして、何か思いつい…

第2投函

ハロー、グッモニ、お元気ですか。数えてみたら、もう26日も会っていないことになりますね。また無理なダイエットを決意して、500グラムも減らないうちからストレスでヤケになって食べすぎたりしてないといいけれど。あれから少し考えましたが、次の日からダ…

第1投函

川べりの桜が満開の時期を迎えて、土手にほろほろと花びらを落としはじめています。 バイトから帰るときはいつも川沿いを歩くことにしていて、今日は夜桜見物も兼ねていた訳ですが、月夜に並び立つ桜の木々は夜闇にもまぎれぬうつくしさだのに、ご時世ですね…